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石匠風間ブログ

深谷から箴言

 
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『微笑む人』貫井徳郎

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内容紹介
エリート銀行員の仁藤俊実が、意外な理由で妻子を殺害、逮捕・拘留された安治川事件。犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。
この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。
周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだ。さらに、仁藤の元同僚、大学の同級生らが不審な死を遂げていることが判明し……。仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そしてその理由とは!?

貫井氏が「ぼくのミステリーの最高到達点」と語る傑作。読者を待つのは、予想しえない戦慄のラスト。



ええ~?こんな終わり方あり?
と、思わず叫んでしまう本でしたw

いやいや、すごく魅力的なんですよ物語として。
しかしミステリとしてこんな投げやりな結末あるか?ってかこれをミステリとしてよいものか・・・

結末を曖昧にして、その先を読者に委ねる、ってのはよくある手法で、村上春樹などもはっきりしない結末が多いですよね。
でもこれはミステリと銘打っておきながら決着させないってのは禁じ手じゃなかろうか。

と、以上のような批判も織り込み済みで著者は書いたのだろうけど、そして確かに読後数日にわたってこの話のことを考えているぼくがいるのだけど。

それにしたって、ですよ。

ちょっとだけネタバレしちゃうと「妻子を殺害した意外な理由」ってのは犯人が読書家で読んだ本を置く場所に困ったため邪魔な人間を始末したという不可思議なもので、この話の中で最も魅力的なのは最初のこの「動機」かもしれないです。

あながち「ありえない」とは言えないのですよね昨今は。オリバー・サックスの脳科学臨床現場で勝るとも劣らない不思議な人達を描いているし。

殺人鬼つながりで『殺人鬼フジコの衝動』を彷彿させるけど、あちらと違って何を考えてるか皆目わからないという部分でまるっきり色が違う物語です。

主人公「私」は小説家で、今回仁藤(犯人)に興味を持って初めてのルポに挑戦する構成なのだけど、どうせなら『羊たちの沈黙』みたいな心理学者によって犯人の心の闇に迫るような筋立てのほうが興味深かったのでは。

追記
Amazonの読者レビューはぼく同様すっきりしない人達の意見が多く、評価は低いのですが、ひとつ「これはアンチミステリだ!」とするレビューがあって、ああなるほどな、と思いました。

つまり結末がしっかりはっきり出るほうが不自然で、ひとりの人間には様々な面があってそれを収集して理路を整えるってのがそもそも安易だと。

物語も主人公<私〉が犯人の人間性を探るため足を使っていろいろな証言を引き出すのですが、過去に関わった人の証言が必ず正しいというのも思い込みに過ぎず、となると 正解なんぞ元来ナンセンスなのかな、とか。

まあ、そんなこと言っちゃ何もかも不確かになってしまうけど。

というわけで、もうちょっと考えてみたい作品となりました。
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