石匠風間ブログ

深谷から箴言

 
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ドラマ「カルテット」

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久しぶりに面白いドラマでした。「半沢直樹」以来かな。
といっても半分くらいしか見れなかったのだけど、それでも面白いと言い切れるのはストーリーではなく漂う雰囲気とかキャラクターとか道具立てとか、そういう副次的な刺激に負うところ。

松たか子はじめ、キャスティングも最高だったし、なんというか伏線を回収しない感がとてもよい!説明不足が逆に世界を広げるような小説本を読んでるような気分。

もちろん弦楽四重奏という状況は個人的に気に入らないはずもないのだけど、それ以上に脚本演出がすばらしかった。

番宣でラブストーリーって強調してたけど全然そんなことはなく、いやそれなりに要素はあるものの恋愛の展開を追いかけず結論を出したりせず、そもそもラブストーリーだったら見ないですよぼくは。

主題歌がまた抜群だった。誰がどう聞いても椎名林檎だなとわかるような曲で、エンディングにこれが流れるとピリッとしまるんですよ~。

全体を通して楽器演奏者がダメ人間かのような印象が残ったが、演奏者の末席に身をおくものとしてそれは否定できないなwありとキリギリスなら絶対キリギリスだし。

あ、結局そのキリギリスであることを肯定するような内容が心地よかったのかな。キリギリスで何が悪いんだ?的な流れの中で、才能なく売れることもない4人の若者が開き直って将来など考えもせず今この瞬間、音を楽しむって、なんとも退廃的なにおいのするドラマでした。

続編を望む声が多いようだけど、それはダメでしょ、やぶへびになるっしょ。
芸術は"今”しかないのです。「退廃」は瞬間に輝くのみです。

『満願』米澤穂信

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内容(「BOOK」データベースより)
人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは―。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなどが遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジックで魅せる、ミステリ短篇集の新たな傑作誕生。



話題になっていたんで読んでみました。

この著者、どこかで聞いた名前だなと思ったら『インシテミル』か。あれはちょっとしんどかったかな、本格ミステリではあったけどさほどには感動も薄く、というか殆ど内容忘れてしまったか。

今回はどうかというと、これがなかなか面白い!

それぞれの話が独特の味があって人間が描かれていて、大掛かりではないけれどひねった展開が興味深いです。

もちろん「そんなわけあるまいに」というミステリ特有の無理クリな設定も感じる部分ありますが、そこはミステリの世界、看過します。

この現実に則したリアルな部分と突飛な部分、そのバランスが面白さを決めるのかな。読み終わった後、ジワァっと心に広がるなんとも言えない心持ち。

正直派手さには欠けるでしょう。
大きな感動があるわけではないけれど、こういう本は本棚のわかり易い場所に置いといて手持ち無沙汰なときにふと手を伸ばす、なんていう状況にぴったりな本です。

無伴奏チェロ組曲4番プレリュード

ここ最近良く聴いているのがこの「無伴奏チェロ組曲」の4番プレリュード。

有名な1番プレリュードとはだいぶ趣が違います。当初なんとも思わなかったのだけれど、自ら弾いてみたりしてるうちに段々ハマってきました。
このメロディが頭から離れません、布団に入っても特に考えようとしてないのにこのフレーズがずっと頭の中で鳴ってるんですw
特に後半のディミニッシュな響き。まるでなにかの魔法のように感覚が囚われてしまって、何度も何度もリピートされてしまいます。

思えばこの「無伴奏チェロ組曲」というのは不思議な組曲です。全部で36曲あるのですが、無伴奏だからチェロの音だけ。それなのに繰り返し弾いたり聴いたりし続けてはや4年、全然飽きないのはぼくが特殊だからか?

ギターやピアノのように主旋律と伴奏を一緒に弾いたり様々な音を組み合わせたりするのにはかなりの制限があるチェロという楽器で、つまり極めて単純な造りの曲のどこにそのような魅力があるのか?自分でもよくわからないのです。

そりゃ単音の響きって意味では魅力あるのだけど、それにしてもすごい・・・

トッププロが何度もレコーディングしてライフワークにしているのもそこら辺の理由なのか。
作ったバッハ当人はちょいと練習曲ッて感じでつくったようなのに数百年経っても世界中で弾かれるというのは予想外でしょう。

ちなみにこの曲はバッハの直筆譜は見つかっておらず奥様の練習帳に練習曲の一部として書かれていたとか。なので実は奥様=アンナ・マクダレーナ・バッハが真の作曲者じゃないか説もあって、謎多き名曲なんです。
そしてチェロの曲であるかも議論の的で、チェロを使用するとはどこにもかかれてないそうです。

真相解明は難しいだろうけど、心を揺るがす稀代の名曲なのは確かなので細かいことはこの際気にしませんが。

『微笑む人』貫井徳郎

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内容紹介
エリート銀行員の仁藤俊実が、意外な理由で妻子を殺害、逮捕・拘留された安治川事件。犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。
この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。
周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだ。さらに、仁藤の元同僚、大学の同級生らが不審な死を遂げていることが判明し……。仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そしてその理由とは!?

貫井氏が「ぼくのミステリーの最高到達点」と語る傑作。読者を待つのは、予想しえない戦慄のラスト。



ええ~?こんな終わり方あり?
と、思わず叫んでしまう本でしたw

いやいや、すごく魅力的なんですよ物語として。
しかしミステリとしてこんな投げやりな結末あるか?ってかこれをミステリとしてよいものか・・・

結末を曖昧にして、その先を読者に委ねる、ってのはよくある手法で、村上春樹などもはっきりしない結末が多いですよね。
でもこれはミステリと銘打っておきながら決着させないってのは禁じ手じゃなかろうか。

と、以上のような批判も織り込み済みで著者は書いたのだろうけど、そして確かに読後数日にわたってこの話のことを考えているぼくがいるのだけど。

それにしたって、ですよ。

ちょっとだけネタバレしちゃうと「妻子を殺害した意外な理由」ってのは犯人が読書家で読んだ本を置く場所に困ったため邪魔な人間を始末したという不可思議なもので、この話の中で最も魅力的なのは最初のこの「動機」かもしれないです。

あながち「ありえない」とは言えないのですよね昨今は。オリバー・サックスの脳科学臨床現場で勝るとも劣らない不思議な人達を描いているし。

殺人鬼つながりで『殺人鬼フジコの衝動』を彷彿させるけど、あちらと違って何を考えてるか皆目わからないという部分でまるっきり色が違う物語です。

主人公「私」は小説家で、今回仁藤(犯人)に興味を持って初めてのルポに挑戦する構成なのだけど、どうせなら『羊たちの沈黙』みたいな心理学者によって犯人の心の闇に迫るような筋立てのほうが興味深かったのでは。

追記
Amazonの読者レビューはぼく同様すっきりしない人達の意見が多く、評価は低いのですが、ひとつ「これはアンチミステリだ!」とするレビューがあって、ああなるほどな、と思いました。

つまり結末がしっかりはっきり出るほうが不自然で、ひとりの人間には様々な面があってそれを収集して理路を整えるってのがそもそも安易だと。

物語も主人公<私〉が犯人の人間性を探るため足を使っていろいろな証言を引き出すのですが、過去に関わった人の証言が必ず正しいというのも思い込みに過ぎず、となると 正解なんぞ元来ナンセンスなのかな、とか。

まあ、そんなこと言っちゃ何もかも不確かになってしまうけど。

というわけで、もうちょっと考えてみたい作品となりました。

豊洲問題

「果たし合い」曖昧に終始=責任追及に「皆で決めた」―石原氏

金曜日は石原元知事の会見があり、上記のとおり「あいまい」だとか「無責任」だとか大いに責められてるようですな。
まあ確かに当時のトップとしての責任は諸々ありましょう。そこは追求されるのもやむをえないかも。

ただね、どうもマスコミの主張に合点がいかないんです。
今回の会見、少なくとも石原氏は嘘はついてなかったように見えたし、そんなにあいまいなことは言ってなかったように見受けたので。

「部下に任せきりだったのか?」との質問に
「私には専門的なことはわからないから」という回答にニュースキャスターがやたらと噛み付いてたけど、結局石原氏がしおらしく謝罪を繰り返す絵が欲しかっただけじゃんね。いくら頭下げたって解決しないし少なくともぼくは別段見たくもない。

さらに豊洲について
「学者が安全性に問題ないといってるのだから豊洲移転を早急に進めるべき。市場関係者を路頭に迷わせてるのは小池知事の責任」
との主張に責任転嫁とか批判してたけど、まさにそのとおりじゃないかとぼくは思うのだけど。

先日築地市場にも汚染の危惧が報道されてました、ずいぶん前からそれは言われてたことでマスコミも都知事もそこに触れずに今に至ってるわけでしょ、罪深いと思うなあ。

瑕疵担保責任の放棄ってのは確かに問題だけど、過去の責任追及にばかり注目して未来の方向性を向かないっておかしくないか?

そういうのが小池都知事の保身から派生してるのだとしたら、政治家としてちょっとねえいかがなものか。

ってそれくらいのことぼくですら考えるのだから世の中の多くの人は思ってると思います。つまり上記のyahoo記事っていささか民意とずれてるんじゃないか。

ついでに言えばyahooニュースって数あるネットニュースの中でもなんかずれたのが多い気がします。

『殺人鬼フジコの衝動』真梨幸子

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内容紹介
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。だが、彼女の人生は、いつしか狂い始めた。人生は、薔薇色のお菓子のよう…。またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか?あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ。最後の一行を、読んだとき、あなたは著者が仕掛けたたくらみに、戦慄する!


間違えてグロ画像を見ちゃった時の居心地の悪さ、あるいは腐った食べ物をそうと知らず完食しちゃった時とか。
言わばそういう本です。

何よりも問題なのはそういうのを面白いと感じてしまうぼくの嗜好でしょうか?

どことなく『コンビニ人間』に通づるものもあるかな、殺すか殺さないかの違いで。いや、それが重大なのだけどね。

実際に「人を殺すこと」に逡巡しない人っているのでしょう、連続殺人事件はさほど珍しくはないわけで。

ただしこの話は単なる殺人鬼の話ではなく、密かにミステリアスな仕掛けを摺りこんでおいて最後の最後に明かすような、ちょっと手の込んだ物語です。

まあ、そんなわけで気持ち悪いけど面白いのだけど、読後に妙な感覚が心に残るってのは、あまり他所様に薦められたもんじゃないか。

いや~、気色悪いなあ。けど面白いんだよなあ。
でもこんな本人に薦めたら絶対嫌われそうw

『死亡フラグが立ちました!』七尾与史

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内容紹介

『このミス』編集部が驚愕した話題作! “死神”と呼ばれる暗殺者のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される??。
特ダネを狙うライター・陣内は、ある組長の死が、実は“死神”によるものだと聞く。事故として処理された組長の死を調べるうちに、他殺の可能性に気づく陣内。凶器はなんと……バナナの皮!?

「死亡フラグ」とは、漫画などで登場人物の死を予感させる伏線のこと。キャラクターがそれらの言動をとることを「死亡フラグが立つ」という。



これは、しかしどう位置づけるべきか?という感じの本。
七尾与史って結構売れてる作家さんらしいけど、今回初めて読んでみて微妙な評価だなあ。

でも、なんか突き抜けてアホらしいところはそれはそれで良しとしたいです。
深刻なのばかり読んでると肩が凝るしね、たまにこういう息抜き読書も無意味ではないです。

ミステリという範疇で捉えるなら諸々突っ込みたい所も多いけれど、そういう脇の甘さも含めていわゆる“そういう芸風”と認識すると、アリかもしれない。

ちなみに続編も多数出ているらしいが、また肩が凝った時にでも気が向いたら手に取るかもしれません、って程度ですw

あ、でも普通におもしろいですよ、読後に何も残らないってだけで。

最近同窓会が多く

ここ最近、そう、50歳あたりの年代になって同窓会が目白押し状態になってきました。

昨日は大学の同期会で東京に行きました。30年ぶりに見る顔も多く、こみ上げるものがありました。

子育てが一段落する時期なのでしょう、みんなある程度の余裕ができて、走り続けてきた人生にふと立ち止まるタイミングが訪れた、という感じなのかな。集まりもよく盛り上がりも半端ないわけで。

遠い記憶を共有しているというのが不思議な高揚感をもたらすのでしょうか?

4月にも高校の学年同窓会が企画されており、やはり年齢的時期的なものが再び集まろうという欲求を高めたりするのかも。

みんな家庭を持ち子供を育て仕事をし、それなりに社会の一端を担っているなかで、肩の力を抜いて酒を酌み交わすような席は貴重なのでしょう。
深谷から東京へ出て行くのはいささか億劫なのだけど、こういう心地よい刺激を貰えるなら億劫がらずに出かけるべきですね。

ところで全く関係ないですが、集合時間1時間前に行って東京駅周辺を散策しました。
まず日本橋、そこから皇居を回って気づけば日比谷公園まで歩いていた、今更ながらなんだけど、なんかすごく魅力ある町ですね東京駅周辺。

『七つの会議』池井戸潤

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内容(「BOOK」データベースより)
トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。



久しぶりに池井戸潤を読みました。一時期は続けて何冊も読んでたのが、やはり飽きが来て手に取らなくなってしばらく経ちます。
そして久々に手にとったものの期待せずに読んだのが良かったか、むちゃくちゃ面白かったです。

ドラマ『半沢直樹』のような勧善懲悪ビジネスバトルではなく、『下町ロケット』のような企業間根性バトルでもなく、本作はいうなれば“企業内ミステリ”要素を強く打ち出してるところがよかったかな。

どの話にもミステリ要素は必須なのだけれど、今回はより強くより複雑に描いている点、しかも社会問題として現実にありそうな話題を入れてきたこと。

会社の倫理観が問われる昨今、すでに似たような問題はしょっちゅう起きてるし、巨大企業でなくでも町工場よりは規模の大きい絶妙の中堅企業で扱うところが問題を難しくしてるのかな。

でもね、他の作品でも思ったことだけど、池井戸の話は清く正しいほうが必ず主役になるのだけど、正直言って、こんなに清く正しい経営姿勢を貫ける経営者って現実いるのかね?ぼくは無理だな。

それにしてもぼくのような家族経営の個人事業主にとっては、このような「会社世界」の一端を垣間見れることは非常に興味深く読み応えがあります。
もちろん現実の会社はこうじゃないと言われるでしょうが、細かいことはいいんですw
空想世界でサラリーマンになれるわけで、自分と違う別の何かを体験できるのが読書の醍醐味でしょう。

政治家の資質

最近はトランプ大統領か小池都知事のことばっかがニュースでやってますね。今までとはそれぞれ違うタイプの政治家で、米国も日本も大きな潮目を迎えているのかもしれません。

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トランプってのは、まだよくわからないけど、米国民にとってはある種のやけくそなんじゃないかと思います。マスコミや識者の意見に従って選ばれてた今までの優秀な政治家がどうにも頼りなかったから、いっそのこと悪がきみたいなのを大統領にしたらどんな社会になるか、という実験を国ぐるみでしてるような。

トランプ自身がアホだとしてもそのブレインはなかなか優秀らしいから、さほどひどいことにはならないと予想しますがどうでしょう。

小池百合子という政治家を以前からぼくはあまり好きじゃなかった、なんか調子のいい風見鶏的なイメージあったし。
政治評論家も「何事も政争の具としてとらえる傾向」を指摘して批判のほうが多いように見受けます。
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ただ、この圧倒的な支持率を鑑みて、そもそも政治家というのはこういうものなのかな、何事も政争の具として捉えるのは政治家として健全なのかもしれないと思い始めました。

たとえどんな優れた政策を掲げようと支持されない政治化には成し遂げられないわけで、まずは支持率、という姿勢は正解な気がしてきました。

小泉潤一郎も高い支持率を背景に郵政民営化を成し遂げたのですが、小泉の場合支持率を狙ってあげたというより天然な魅力がいつの間に押し上げた感じはあります。
その点、小池の場合明らかに確信犯的に支持率を狙ってますよね。そしてそれこそが政治家のあるべき姿かもしれません、良し悪しは置いといて。

今後はワイドショーのネタを提供することができないと政治家として3流という風潮になっていくのかも。
これからどんな展開が待っているのか、非常に興味深いです。
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